前回の記事では、仮想通貨の「空売り」の基本ルールや空売りができる取引種別について解説しました。
まだ読んでいない方はコチラの記事をご覧ください。
その中で、「空売り」とは証拠金取引において、(実質的に取引所から借りた)仮想通貨を売る取引方法のことです。と解説しました。
しかしまだイメージが掴めていない方もいると思うのでこの記事では、通常の「売り」と「空売り」の手順を比較して、更に空売りを理解しましょう。
「売り」と「空売り」はなにが違うのか?
結論として空売りは、レバレッジ取引において売りポジションを保有し、それを買い戻す取引のことです。
上の図は、現物取引の「売り」と証拠金取引の「空売り」の取引の流れを比較したものです。パッと見でもわかるように、空売りは手順の数と内容が異なります。
ではそれぞれの手順を解説します。
まずは現物取引の「売り」からみてみましょう。
現物取引の「売り」の手順

仮想通貨の現物取引の「売り」は、いたってシンプルな手順です。
【売りの手順例】
- まず既に手元にある1ビットコインを売り、100万円にします。
- その後の取引は自由です。
例えば、
- ビットコインの価格が80万円に下がった時に、その100万円で1.2BTC購入してもよいですし、
- ビットコインを買わずに、イーサリアムなどの他の仮想通貨を買うこともできます。
- ずっと円で保有したままにするのも一つの手です。
よって仮想通貨の現物取引の「売り」は、とても自由度が高い取引方法と言えるでしょう。
では次に証拠金取引の「空売り」の手順を解説します。
ちなみに仮想通貨の現物取引のオススメの取引所は、コチラの記事で紹介しています。
証拠金取引の「空売り」の手順
仮想通貨の証拠金における「空売り」は、現物取引の「売り」と比べて手順が多く、また制限もあります。
では次に「空売り」の手順を見てみましょう。
【空売りの手順例】

①まず証拠金を預け入れ、1BTCを取引所から借入ます。※1
なおレバレッジの設定値によって、1BTCを借り入れるのに必要な証拠金は異なります。

②次に借り入れたビットコインを1BTCが100万円の時に「空売り」します。
図ではイメージしやすいように100万円の図を載せていますが、この100万円は現実的には存在せず、これを「ポジション」と呼びます。
なおポジションは、空売りした取引内で「買い戻し」をするときにしか使えません。
③1ビットコインの価格80万円になった時に、上で紹介した100万円のポジションの内の80万円分で1BTCを買戻します。
そしてその1BTCを取引所に返済します。※1
④そうすると最終的には手元に、差額の20万円が残ます。(100万 – 80万)
それがユーザーの損益になります。
※1)仮想通貨FXと先物取引では、この「借入と返済」の手順は実際に行われていませんが、実質には同じことが行われています。
以上が、仮想通貨の「空売り」の手順です。
仕組みから理解するために、本質的な取引手順を紹介しました。
改めて簡単に表すと以下の流れになります。
【空売りの本質的な手順】
- 証拠金を預け入れる(借入)
- 空売り(エントリー&ポジション保有)
- 買戻し(エグジット&返済)
- 差金決済(エントリーとエグジットの差額が損益)
なお上の※で説明したとおり、仮想通貨FXと先物取引では「借入と返済」の仕組みが見えにくいようになっているので、ユーザーから見ると以下のような手順になります。
【ユーザー視点の空売りの手順】
- 空売り(エントリー)
- ポジション保有
- 買戻し(エグジット&)
仮想通貨の「空売り」は、この3手順だけ見るとシンプルな取引手順のように見えます。
しかしながらビットコインを保有していなくとも売りから取引を始められるように、裏側では上で説明したような仕組みで取引が行われています。
【まとめ】「売り」と「空売り」の違い
この記事では、仮想通貨の「売り」と「空売り」の手順の違いについて解説しました。
これで「どうして仮想通貨を保有していなくても、売ることがきるの?」といった疑問は解決したのではないでしょうか?
最後に大事なポイントをまとめます。
- 「売り」の取引の流れは、「①保有中の仮想通貨を売る→②その後は自由」
- 「空売り」の取引の流れは「①仮想通貨を借入→②売る→③買戻し&返済→④差額が損益になる」
- ただし仮想通貨FXと先物取引では「借入と返済」の手順が見えないようになっている
- 「空売り」のユーザー視点の手順は、「①エントリー→②ポジション保有→③エグジット」
次の記事では、「空売り」ができるおススメの取引所や、「空売り」の相場への影響について解説します。