仮想通貨のウォレットはインターネットの接続方法によって3種類に分類できます。
- ウォレットの分類
- ホットウォレット
- コールドウォレット
- ハードウェアウォレット
前回の記事ではホットウォレットについて解説しました。
https://bitcoin-fx.jp/?p=8566
今回の記事ではコールドウォレットについて解説をします。
コールドウォレットとは

コールドウォレットとは、インターネットへの接続を一切なくし、ハッキングができないようにして秘密鍵の漏洩を防ぐウォレットのことです。
ウォレットをオフライン環境に置くことで秘密鍵の漏洩を防ぐというメリットがありますが、その反面コールドウォレット単体では、ブロックチェーンの情報を取得できないというデメリットもあります。
コールドウォレットは署名や送金の際には手間がかかりますが、サイバー攻撃などのオンライン環境での安全性はホットウォレットより安全と言えます。
よってコールドウォレットは、長期的な資金の保管には最適なウォレットです。
では実際にコールドウォレットにはどんな種類があるのかを見てみましょう。
【豆知識】ハードウェアウォレットはコールドウォレットじゃない?
Trezor等のハードウェアウォレットは、厳密にはコールドウォレットとは言えません。
コールドウォレットは、そのウォレットがインターネット環境から最大限に隔離されている状態のものを指します。
なのでインターネットに接続したPCに繋いで使用するハードウェアウォレットは、厳密にはコールドウォレットとは言えないのです。
ですがホットウォレットより格段に安全で、コールドウォレトより使いやすいので、オフラインにこだわりがなければオススメのウォレットです。
コールドウォレットの種類
コールドウォレットには主に2種類のウォレットがあります。
それぞれのウォレットは常時オフライン環境にありますが、秘密鍵がどのような環境で保存されているかで種類分けされています。
- コールドウォレットの種類
- ペーパーウォレット・物理ウォレット(媒体・端末アリ)
- ブレインウォレット(媒体・端末ナシ)
この2つのコールドウォレットを詳しく解説します。
ペーパーウォレット(物理ウォレット)

ペーパーウォレットは、秘密鍵と公開鍵を紙や物理的な媒体で保存しているウォレットです。
基本的にペーパーウォレットには、秘密鍵とその秘密鍵に対応したビットコインアドレスがそれぞれのQRコードと記載されています。(上の図を参照)
ペーパーウォレットに入金する時は、記載されているビットコインアドレス送金するだけなので手順は簡単です。
しかしペーパーウォレットから出金をする時は、ビットコインブロックチェーンに接続されたPCを使用しなければいけないので手間がかかります。
しかしこの方法によって秘密鍵が一切オンラインに接続せず安全に送金できます。
またペーパーウォレットは紙にQRコードなどを印刷しているので、経年劣化や焼失などのリスクはあるので、その点は注意が必要です。
ちなみにペーパーウォレットが作成できるサイトは、https://bitcoinpaperwallet.com/が昔から有名です。
では次に「ブレインウォレット」の特徴をみてみましょう。
ブレインウォレット

ブレインウォレットは秘密鍵から記憶しやすいパスワードを生成し、それを脳内に記憶しておくウォレットです。
ブレインウォレットから送金する時には、そのパスワードから再度秘密鍵を復元しトランザクション(送金データ)に署名します。
ブレインウォレットは、媒体を持たずにユーザーの記憶に秘密鍵を保管しているので、ハッキングへの安全性はどのウォレットよりも高いと言えます。
しかしその反面、パスワードを忘れてしまうとその仮想通貨は2度と取り出せなくなるので、使用する際にはパスワードを忘れないに気をつけなければいけません。
次の項目ではコールドウォレットの着金・送金方法と仕組みを解説します。
コールドウォレットの着金・送金方法と仕組み
コールドウォレットの送受金方法は、ホットウォレットやハードウェアウォレットとは異なります。
その前に送金の仕組みの基本を知りたい方は以下の記事をご覧ください。
コールドウォレットへ送金する手順

コールドウォレットで仮想通貨を受け取る方法はいたって簡単です。
以下が手順となります。
- ユーザーはオフライン環境で秘密鍵とビットコインアドレスを作ります。
- 送金する人にそのビットコインアドレスを伝えます
- 送金後に、インターネット接続環境で、https://www.blockchain.com/explorerなどのサイトから上記のアドレスへの着金を確認します
次にコールドウォレットからの出金方法を解説します。
コールドウォレットから出金する手順
コールドウォレットは秘密鍵を一切オンライン環境に置かないことでその優位性が保たれます。
よってコールドウォレットから送金をする際には、オンライン環境にある別の端末(PC)を併用して送金します。
大きな流れは以下の通りです。
- オンラインで未署名送金データを作成
- オフラインで署名&QRコードに出力
- オンラインで署名済みデータを伝播(完了)
では詳細を解説します。
- 【オンラインで未署名トランザクションの作成】
オンラインのPCを使い上記(3)のコールドウォレットへのアドレスへの着金データから、未署名のトランザクションデータ(送金データ)を作成しQRコードに出力します

- 【オフラインで署名】
別のオフラインのPCで、コールドウォレットの秘密鍵を使い上記のトランザクションに署名をします - 【オフラインでQRコードへ出力】
署名したトランザクションをもう一度QRコードに出力します

- 【オンラインでトランザクションを伝播】
オンラインのPCを使いそのQRコードを読込み、署名済トランザクションをブロックチェーン上のネットワークに送信します
この方法で秘密鍵を一切インターネットに接続することなく、ビットコインの着金・送金できます。
大変かもしれませんが、大事なお金を守るためなので大切な作業となります。
【まとめ】コールドウォレットについて
コールドウォレットは、オンラインからの攻撃からいかに秘密鍵を守ることができるのか?といった点が重要なポイントです。
最後に要点をおさらいしてみます。
- コールドウォレットは秘密鍵を一切オンラインに晒しません。
- なのでコールドウォレットの送金方法はホットウォレットと比べて手間がかかります
- しかしコールドウォレットは不便だからこそセキュリティが高いと言えます
例えば1年以上仮想通貨を保有したい場合はコールドウォレットを使うことでより安全に保管ができることでしょう。
2020年5月からは仮想通貨取引所に預けても資産は守られる
コールドウォレットを選ぶ理由は、ハッキングや流出によるビットコインや仮想通貨の消失を避けたいからの人が多いでしょう。
取引所は2017年から2019年にかけて多数のハッキング被害に遭っているので、そう思うのもしょうがです。
しかし2020年5月以降は、新たな法律である「改正資金決済法」が施行され、当時よりも取引所に預けるリスクは下がっています。
正確には、取引所がハッキング被害に遭い顧客の仮想通貨を消失しても、取引所は顧客にその分を返金することが義務付けられました。
上記の新法を踏まえると、手間やコストをかけてコールドウォレットで仮想通貨を保管するなら、気軽かつ消失保証がある取引所に預けるのもアリではないでしょうか。
改正資金決済法については「仮想通貨レバレッジ取引2倍はいつから規制されるのか?4パターンで予想」もご覧ください。