夏場でよく起こる「サマーラリー」というアノマリー(経験則・規則性)を、ご存知でしょうか?
今回はそんなサマーラリーを知り、過去のデータを分析しながら今後の売買戦略を立てていきます。
また夏場ではサマーラリーの他にも、「夏枯れ相場」という現象もありますが、いまいち分からない方が多いと思います。
そこで夏枯れ相場や、さらに8月の重要イベントについても解説します。
【結論】サマーラリーによる株・FX(為替)への影響
結論としては、サマーラリーによる株・為替への影響は下記の通りです。
- 7月:米国株は買い・ドル円は売り
- 8月:株・為替共に取引は控えるべき
- 8月下旬〜:以降はドル高
詳しく解説します。
サマーラリーとは
サマーラリーとは、米国の夏場(7月~9月)にかけて、株価が上昇しやすい現象のことです。
具体的なサマーラリーの期間は、米国独立記念日の7月4日から9月第一月曜日までの約2ヶ月間弱です。
ちなみにこれは、米国独立記念日からレバーデー(労働者の日)までです。
サマーラリーで株価が上昇しやすい理由は、バカンスに入る前に投資家がボーナスなどで株を買いだめするためです。
夏枯れ相場とは
またよくサマーラリーと同時に使われる「夏枯れ相場」は、夏場において値動きが小幅になり相場が動かなくなる期間のことを言います。
夏枯れ相場が起こる原因は、市場参加者が減って取引量が少なくなるからです。
多くの投資家がお盆を中心に夏季休暇に入ることが市場参加者が減る理由とされています。
次に、過去の統計データから夏場の株・FX(為替)動向をおさらいしてみましょう。
株のサマーラリー(夏場動向)

NYダウの陽線確率のデータは下記の通りです。
7月の株の勝率(陽線確率)
- ナスダック:61%
- NYダウ:72%
- S&P500:61%
8月の株の勝率(陽線確率)
- ナスダック:58%
- NYダウ:53%
- S&P500:61%
※期間:1985年~2020年
上記のデータを見ると、ナスダック、NYダウ、S&P500共に7月、8月は50%を超えて陽線になる確率が高いのが分かります。
チャート画面でも過去5年間ではありますが、ほとんどが陽線という結果になっています。
ただし、2020年のコロナショック以降、上昇ペースが急角度なので調整の下落が入ることを考えると、安易に買うのは注意が必要です。
よって戦略としては、7月は上昇傾向が鮮明であるため、下がったところで買っていくのが望ましいでしょう。
FX:ドル円(USD/JPY)の夏相場

7月、8月のドル円の勝敗データは下記の通りです。
- 7月のドル円の勝率:36%9勝16負(※陽線と陰線の勝敗表)
- 7月の騰落幅:-52銭
- 8月のドル円の勝率:48%12勝13負
- 8月の騰落幅:-64銭
※期間:1995年~2020年
ドル円のデータを見てみますと陽線確率が50%を下回り、陽線と陰線の勝敗も負け越しているのが分かります。このようにドル円は、サマーラリー中に下がりやすい傾向があるようです、
FX:ユーロドル(EUR/USD)の夏枯相場

7月、8月のユーロドルの勝敗データは下記の通りです。
- 7月の勝率:48%12勝13負(※陽線と陰線の勝敗表)
- 7月の平均騰落幅:-3ポイント
- 7月の直近10年:-22ポイント
- 8月の勝率:52%13勝11負1分
- 8月の平均騰落幅:-3ポイント
- 8月の直近10年:-24ポイント
※期間:1995年~2020年
次にユーロドルのデータを見てみますが、陽線確率も勝敗もほとんど同じで、平均騰落幅も狭いことが分かります。
欧州のトレーダーが夏休みというのもあり、ユーロドルはほとんど動かないことが多いです。
夏場の重要イベント

8月の重要イベントとして、ジャクソンホール会議(8月26日~28日)があります。
ジャクソンホール会議とは、アメリカ、ワイオミング州のジャクソンホールで毎夏開催する経済シンポジウムのことです。
世界各国から中央銀行総裁や政治家、学者などが参加し、世界経済や金融政策について議論します。
ジャクソンホール会議では、9月のFOMCからテーパリング開始を宣言するのではないか…、と言われています。
テーパリングを実際に開始する発表を発言していることに加え、ジャクソンホール会議でFRBの金融政策の方向性を示す例が過去にもあったからです。
ですので、8月に宣言をして9月からテーパリングを開始するシナリオは十分にあると言えるでしょう。
戦略的には引き続きドル買いをしていきたいところですが、テーパリング開始が分かっていて、ポジション動向が不明なので注意は必要でしょう。
サマーラリーまとめ
7月
- 米国株:買い
- ドル円:売り
8月
- 株も為替も取引しない方が良い
イベント
- ジャクソンホール会議:ドル高
では最後にまとめです。
7月から9月の米国では、バカンス前の投資家がボーナスなどで株を買いだめするため、株価が上昇しやすくなるサマーラリーという現象が起こることがあります。
ですので、7月は米国株は買いの戦略、反対にドル円は下がりやすいデータが出ているので売りの戦略を取るのが望ましいです。ユーロドルは夏場はほとんど動きが無いので、無理な取引は控えるのが良いです。
8月はジャクソンホール会議が開催するので株も為替も取引はしない方が良いです。
ジャクソンホール会議後は、テーパリングを開始するシナリオがあると考え、引き続きドル高目線ですが、ポジション動向が不明なので注意が必要です。