既存のネットワークに改革をもたらすことが期待されているIPFS(InterPlanetary File System:惑星間ファイルシステム)。
詳細は後述しますが、2020年の1月時点でIPFSを活用したサービスは既に76コ存在し、これからさらにIPFSの利用が加速するのでしょうか。
この記事では、IPFSを活用した76個のサービスをリストアップし、その中でも注目されている5つのサービスについて詳細にご紹介します。
なおIPFSの仕組みを知りたい人は「IPFS(InterPlanetary File System)とは?仕組みや技術をわかりやすく解説」の記事をご覧ください。
もくじ
IPFS(InterPlanetary File System)とは?
IPFSとは、分散型ファイルストレージ(以下、「分散型ストレージ」)構築のための規格のことで、Protocol Labsにより開発が進めれられています。
ちなみに、IPFSとは「InterPlanetary File System」の略称で、日本語で惑星間ファイルシステムと呼ばれています。
皆さんが普段使っているネットワークには、サーバーへのアクセス集中によるシステムダウンやサーバー管理者による開示情報の制限や改ざんなどの懸念点がありました。
しかし、P2Pネットーク※1ワやコンテンツ指向型※2を活用したIPFSでは、これらの課題を解決することが期待されています。
IPFS用語解説
①P2Pネットワークとは
Peer to Peerネットワークの略称。
Peerとは、個人や企業の携帯やPCなどの端末を指し、それが複数接続されて構築されるネットワークのこと。
つまり、特定のサーバーが一括して情報を管理するのではなく、ネットワーク参加者で情報を分散して管理するネットワークともいえる。
②コンテンツ指向型とは
簡潔にいうと「サーバーという場所」ではなく「情報というコンテンツ」を指定することでデータにアクセスする仕組み。
既存のネットワークでは、例えば「https://docs.ipfs.io/introduction」というURLを指定し、docs.ipfs.ioというサーバにあるintroductionという場所に存在する情報にアクセスします。
なおこの記事でP2Pネットワークやコンテンツ指向型についての詳細は説明しません。
詳細が気になる方は、IPFS(InterPlanetary File System)とは?仕組みや技術をわかりやすく解説の記事をご覧ください。
IPFSを活用したサービス76選~注目の6サービスを解説~
現在IPFSの公式Githubを確認すると、デモ開発含め、以下の76のサービスがIPFSを活用して開発されているのがわかります。
※記事執筆時の2020年1月31日時点の情報です。
- 2read
- 3Box
- a js video player
- a markdown renderer
- a qr-code renderer
- AirSecure
- akasha
- Alexandria
- Arbore
- Autonomica “IPFS Social Proof”
- beets
- Blokaly
- Boards
- brig
- Cohort
- Computes
- Cyber
- dapple
- Diffuse
- digx
- Discussify
- DtinyUrl
- dtube
- enzypt.io
- Ethlance
- git-ipfs-rehost
- Global Upload
- gogo.tattoo
- Gorilla REPL viewer
- Hardbin
- hasteIPFS
- HydrusNetwork
- nfura.io
- InterPlanetary Wayback
- Interplanetary Wiki
- IPFessay
- IPFS Desktop
- IPFS Drive
- IPFS Event Drop
- IPFS ID and Public Key QR Codes Demo
- IPFS with TiddlyWiki
- ipfs-md-wiki
- ipfs-search
- ipfs-share
- ipfs.ink
- ipfs.pics
- IPFSBin
- IpJot
- IPSE
- KDE-DolphinServiceMenu-IPFS
- killcord
- markup.rocks
- Minerva
- OpenBazaar
- Orbit
- Origin Protocol
- Partyshare
- Pathephone
- Peer Bandwidth Demo
- Peer Map Demo
- Peergos
- Philes
- Playback
- PubSub Chat Demo
- PushToTalk
- qri
- Request
- SimpleID
- TallyLab
- Temporal
- Textile Photos
- ToDo List Demo
- ujo
- uport
- Wistful Books
- xfce-screenshooter-ipfs-support
- Filecoin※
ファイルコインについては、
この記事では、Githubで確認できる76個のアプリと日本人の方が開発したことで話題の、下記の5つのアプリについてご紹介していきます。
- Origin(オリジン)
- uPort(ユーポート)
- Digix(ディジックス)
- DTube(ディーチューブ)
- Digital Art Chain(デジタルアートチェーン:日本人が開発。Githubには未掲載)
それでは、それぞれのサービスについて開発目的やサービス内容について一緒に紐解いていきましょう
IPFSを活用したECサービス①Origin Protocol
OriginはIPFSに保存された画像やイーサリアムのトークンを活用した分散型マーケットプレイスを構築するためのプラットフォームのことです。
そして、プラットフォームで活用されてるトークンをOrigin Tokens(OGN)といいます。Origin上には、shoporigin.comというアプリがリリースされているので見てみましょう。

画像を見ても分かるとおり、shoporigin.comではパーカーやORIGINのステッカー、マグカップなどを購入することが可能です。
なお、これらの商品はメタマスクや専用のウォレットアプリで購入できるようなので、気になる方は是非試してみてください。
開発時期 | 2017年5月 |
創業者 | Matthew Liu(マシュー・リウ) |
公式HP | https://www.originprotocol.com/ja |
ホワイトペーパー | https://www.originprotocol.com/ja/whitepaper |
独自トークン | Origin Tokens【OGN】 |
アプリ | iosアプリ |
IPFSを活用した証明書サービス②uPort
uPortとは、イーサリアムのブロックチェーンを活用したアプリケーションで、身分証明をより安全・簡単・オープンに行えるようにするための分散型プラットフォームです。
証券口座を開設する際やAmazonなどで買い物をする際に、住所や本人確認書類の提出、クレジットカード情報の登録などの情報を提供した方は多いのでは。
別サービスを使う際に毎回同じ個人情報を入力するのは面倒ですよね。
uPortではこのように個人情報を提供する手間の解決などを目指しているのです。
なお、uPortではイーサリアムのスマートコントラクトを活用しているのですが、ユーザーのプロフィール情報(アバター画像)をIPFSで管理しています。
創業者 | Rouven Heck |
開発団体 | ConsenSys社 |
公式HP | https://www.uport.me/ |
ホワイトペーパー | http://blockchainlab.com/pdf |
アプリ | iosアプリ |
IPFSを活用したゴールド所有権サービス③Digix
Digixとは、イーサリアムのブロックチェーンを活用した分散型アプリケーションで、金(gold)をトークン化し、金に関する情報を管理することが可能です。
なおDigixで活用されるトークンはDGDといい、金に紐づくトークンをDGXといいます。
Digixでは、高い改ざん耐性をもつブロックチェーンに、金の所有権に関する情報を書き込むので、オンラインで金を売買しても所有権はきちんと証明されます。
なおDigixでは、アセットの証明書などをIPFSで管理しています。
公開日 | 2016年3月 |
開発団体 | ConsenSys社 |
公式HP | https://digix.global/ |
ホワイトペーパー | https://www.dgx.io/whitepaper.pdf |
トークン | DGD(DigixDAO Tokens)
DGX(Digix Tokens) |
IPFSを活用した動画サービス④DTube
DTubeとは、簡単にいうとブロックチェーンを活用した広告が存在しないYoutubeのことで、STEEMのブロックチェーンとIPFSを活用しています。
DTubeの公式ページを見ると、動画のアップロードや視聴のするための分散型ストレージとしてIPFSを利用し、報酬システムや評価システムとしてSTEEMが活用されています。
広告が存在しないDTubeでは、広告ではなく投稿した動画が評価されるほど高い報酬が得られ、現在では月に数百万人のユーザーに利用されているようです。
公式HP | https://d.tube/ |
ホワイトペーパー | https://token.d.tube/whitepaper.pdf |
トークン | DTube Coin (DTC) |
IPFSを活用したアート流通サービス⑤Digital Art Chain
Digital Art Chainとは、日本人開発者オオキマキさんが開発したプロダクトで、画像コンテンツ(デジタル・アート)をERC721として発行・売買可能にするアプリケーションです。
画像はIPFS上に公開され、公開された画像をERC721として発行。
その後は、OpenSeaというプラットフォームで売買することができます。
なおDigital Art Chainで画像をERC721として発行するにはイーサリアム(ETH)とメタマスクが必要です。
しかし、この2つさえ用意してしまえばあとは、画像ファイルの選択とプレビュー、トランザクションを確認するという3つのステップで終了します。
気になる方は、是非試してみてください。
IPFSを活用したサービスは2020年増加するのか
この記事では、IPFSを活用したサービスを76個リストとして紹介し、中でも特に注目を集めている5つのサービスについて紹介しました。
2019年の6月には世界最大のP2Pファイル共有システムを提供する、BitTorrent社がIPFSを活用したサービスのテストを開始。
2020年のローンチを目指しているというニュースも発表されました。
2020年はIPFSにとってどのような年になるのか、一体今後どのように活用されていくのか、2020年のIPFSの動向に注目していきたいと思います。
IPFS参考サイト
ちなみにIPFSについては、別の連載でも解説していますので、参考にしてみてください。
またこの記事は、下記サイトを参考にしながら執筆しています。
- IPFS公式HP:https://ipfs.io/
- IPFS Document:https://docs.ipfs.io/
- 公式Git:https://github.com/ipfs/awesome-ipfs