
皆さんはトレードをする上で、どんなチャート分析用のプラットフォームを使ったらいいか悩んだことはありませんか?現在まで4000万人以上のトレーダーに利用されているMT4と、近年利用者が急速に増え現時点(2020年2月18日時点)で1000万以上のユーザーに支持されているTradingViewを比較することで、双方の特徴とどんなユーザーに適しているのかを調べて説明していきたいと思います。

もくじ
MT4とTradingViewとは?
MT4とは、メタクオーツ社製で国内外の多くの証券会社で利用可能なチャート分析ツールです。これまでに600社以上で導入されてきています。一方のTradingViewは、アカウント一つでデバイスを問わずに表示・利用することができるクラウド型チャート分析ツールになっています。


マストな五つの項目を比較
比較項目 | MT4 | TradingView |
分析ツール | インジケーター数:約30種類 描画ツール:トレンドラインやフィボナッチ、図形など20種類以上 |
インジケーター数:数千種類以上、内臓85種類や出来高プロファイルなども使用可能 描画ツール:ラインやフィボナッチ、幾何学図形やパターンなど60種類以上 |
利用プラン | 基本無料 (インジケーターやEAの購入など必要に応じた拡張プログラムの利用が有料になる) |
基本無料 有料プラン:PRO、PRO+、PREMIUM |
自動売買(プログラム)の有無 | EAによる自動売買が可能 MQL4でEAやカスタムインジケーターの作成が可能 |
自動売買はできない Pineスクリプトでカスタムインジケーターやストラテジーの作成や検証が可能 |
カスタマイズ性 | チャート画面を好きなだけ表示可能。 複数のチャートをボタン一つで分割・整列させて見やすく表示させることが可能 |
・銘柄をウオッチリストに入れて簡単にアクセスできる。 ・一つのチャートに他のチャートを重ねて表示することができる。 |
SNS機能 | SNS機能はなし 自分の分析環境をテンプレート化して、そのデータを渡すことで特定の相手のMT4上で再現は可能 |
公開チャットやアイデア機能など他のトレーダーとの交流が可能で、分析や意見交換などが活発 |
今回はMT4とTradingViewを「分析ツール」「利用プラン」「自動売買」「カスタマイズ性」「SNS機能」の五つの観点から比べてみました。
分析ツール
MT4の分析ツール
MT4で標準搭載されているインジケータ(テクニカル指標)の数は約30種類。トレンド系やオシレーター系、ボリューム系とテクニカル分析に必要な基本的なものが揃っています。これに加えて、有料・無料を含めたカスタムインジケーターが数百種類以上と拡張性に優れており、他の分析ツールと比べてもMT4を使ったテクニカル分析は選択肢の豊富さが圧倒的です。有料はもちろん、無料のものでも優秀なものが多く組み合わせて使うことで自分だけの快適な分析環境を構築することができます。
描画ツールも垂直・水平・トレンドラインやチャネルやフィボナッチの他、図形や矢印、テキストがチャートに挿入可能です。
TradingViewの分析ツール
こちらも内蔵のインジケーターは85種類と多いです。描画ツールもトレンドライン系やギャン&フィボナッチなどの他に幾何学図形やパターン、さらにポジションからの予測・測定など細かい分析もツール一つを選ぶだけで簡単に描画できます。多岐にわたる描画ツールは画面左のツールバーに整理されており、それぞれを直感的に操作することが可能で、一度チャート上に描いたものもドラッグすることでそのまま移動させることも可能。またマグネット機能で近くの価格水準にラインを合わせる、表示・非表示など補助的な機能も充実しています。
利用プラン
MT4は基本完全無料、TradingViewも基本無料、有料プランで利便性が拡大
MT4を利用するにあたって利用料は必要なく、ソフトをダウンロードしてフル機能が使用できます。
一方、TradingViewもアカウントを作成さえすれば、基本無料で利用することができます。有料プランは全部で3種類あり、グレードによってチャートに表示できるインジケーターの種類、アラームの最大設定数などの制限が解除されていく仕組みです。
自動売買(プログラム利用)
利用者の多い、自動売買するならMT4一択!
MT4はExpert Advisor(EA)と呼ばれる自動売買プログラムを使って運用することが可能です。
EAやカスタムインジケーターを作成するためのプログラミング言語であるMQL4は、その拡張性から投資家やEA開発者などから高く評価されています。MT4がリリースされた2005年以降、現在まで多くのEA・カスタムインジケーターが作成されています。各FX会社が独自のサービスとして提供している自動売買サービスを除けばFXにおける自動売買ツールとして圧倒的なシェアを誇ります。このMQL4での開発環境はMT4のインストールに付随してくるので、別途準備する必要がないのも特徴です。
Pineスクリプトでストラテジーを組んで検証が可能
一方、TradingViewでは売買プログラムを使ってチャート上で実際に自動売買をする機能は実装されていません。しかし、Pineスクリプトと呼ばれるTradingView上で機能するための独自のプログラミング言語があります。これを用いてオリジナルのカスタムインジケーターを作成することやストラテジーと呼ばれるロジックを組んでバックテスト(ストラテジーテスター機能)をすることができます。過去のチャートからエントリーや決済、評価損益なども見ることができるので、使いこなすことができれば膨大な検証や分析も簡単に行えます。デフォルトで搭載されているストラテジーもあるので、試しに利用してみるのもお勧めです。
カスタマイズ性
MT4では好きなだけチャートを表示できる
MT4ではチャートを複数同時に表示させることができます。さまざまな通貨ペアを同時に確認したい、マルチタイムフレーム分析をしたいときに便利です。また、複数のチャート画面を分且つ整列させることができ、視認性も確保できます。
ウオッチリスト機能とチャートの重複表示
TradingViewでは通貨ペアに限らず、債券や株式・各種指数など世界各国の金融商品をブローカー別にチャートで確認することができます。よく確認する銘柄をウオッチリストに入れることで、膨大な銘柄数からユーザーがより簡単にアクセスできるようになります。
また、TradingViewは一つのチャートに別のチャートを重ねて表示することも可能です。例えば、ドル円に日経平均株価や米10年債のチャートを表示させることで相関性の分析が一段と見やすくなります。

SNS機能
データを共有することで、他のMT4でも環境が再現可能
MT4は個人のトレード分析ツールとして完成度が高い反面、2005年と昔のアプリケーションであるためSNS機能は搭載されていません。ただし、テンプレートのデータを渡すことで自分の分析環境を特定の相手のMT4で再現することは可能です。
アイデア機能やチャットで分析や相場観を公開・共有できる
TradingViewには、自分が行った分析や検証などを投稿し公開することができるアイデア機能や不特定多数のユーザーと意見交換できる公開チャットなどSNS機能も活発で、他のトレーダーと交流することができます。特にアイデア機能は一人ではできない分析や手法の研究の幅を広げる手段として役立ちます。
【まとめ】MT4がお勧めな人、TradingViewがお勧めな人
これらを振り返ると、MT4は多くの国内証券会社のプラットフォームとして採用されており、分析と同じ環境で実際の取引をしたい方やEAでの自動売買したい方にお勧めです。無料にも関わらず基本的な分析ツールが揃っており分析から取引、検証までこれ一つで完結することができます。さらに豊富なカスタムインジケーターの利用によって最適な環境を構築できる点でも魅力的です。
一方のTradingViewはMT4と比べて自動売買の環境はまだ改良の余地があると言えそうですが、分析や検証ツールとしてはダントツの利便性を備えています。あらゆる金融商品をチャート上に表示できるシンボル数の多さ、整理された描画ツールが直感的に操作可能です。Pineスクリプトを使ったカスタムインジケーターやストラテジーの作成で分析を効率良くするだけでなく、アイデアやチャットといったSNS機能から他のトレーダーとの交流を通して分析や相場観の幅を広げてくれることも可能です。通貨ペアに金利・他の指数で複合的な視点からの分析や、指標や描画で繰り返し試行錯誤してチャート分析を徹底的に行いたい人にお勧めです。
今回紹介した機能はMT4とTradingViewを利用するにあたってマストな機能を五つの項目で紹介してきましたが、分析ツールとしての基本的な機能はどちらも十分に備わっているので上記比較項目から自分の目的に適したツールを利用してみてください。