最近の記事では、テクニカルを重点的に説明し、TradingViewを使ったテクニカル分析を有効活用するために、インジケーターの一つであるストキャスティクスを紹介しました。まだお読みになっていない方はぜひ読んでみてください。
今回は同じオシレーター系でストキャスティクスと同様にRSIの基本的な説明やチャートの見方を紹介していきたいと思います。RSIもTradingViewに内蔵されているのですぐに使うことができます。

RSIを使いこなすために基礎知識をおさらいしよう
RSIは、相対力指数(Relative Strength Index)といい、一定期間の値動きに対して上昇分の値動きが占める割合を算出し、そこから価格の上昇の強さを数値化したテクニカル指標になります。
同じオシレーター系のストキャスティクスが直近一定期間における現在の価格の相場水準を表しているのに対して、RSIは直近一定期間の終値ベースによる変動幅の中で上昇変動がどの程度占めているかを表します。
RSIを求める計算式は主に2種類あります。
①
RS=n期間の終値の上昇幅の平均÷n期間の終値の下落幅の平均
RSI=100-{100÷(RS+1)}
②
n期間のRSI=上昇変動の合計(n期間)÷{上昇変動の合計(n期間)+下落変動の合計(n期間)}×100
※n期間にはRSI考案者のJ・W・ワイルダー氏の推奨やTradingView内蔵RSIのデフォルト値になっている14などが一般的です。
この計算式で求めた値が70以上なら買われ過ぎ、反対に30以下であれば売られ過ぎと判断し、相場の行き過ぎから価格の反転が近いと考えることができます。(80以上を買われすぎ、20以下を売られすぎとする場合もあります。)
ただし、RSIは一定期間の相場においてその上昇幅比率を表している指標なので、上昇・下降を繰り返すレンジ相場ではとても効果的である反面、一定期間の上昇・下降が継続しているトレンド相場ではダマシになりやすいので、反転を狙った逆張りの指標とする場合には注意が必要です。
RSIの見方
RSIは上記で説明したものに加えて、
- ダイバージェンス
- リバーサルシグナル
に注目するのも効果的です。
(1)ダイバージェンス
価格が上昇しているにもかかわらず、RSIは下降している場合のように価格とRSIの逆行現象をダイバージェンスといい、トレンド転換のサインとして使うことができます。
(2)リバーサルシグナル
トレンド相場における価格とRSIの逆行現象に注目する方法です。リバーサルシグナルは隠れダイバージェンスとも呼ばれており、こちらはダイバージェンスとは反対にトレンド継続を示唆するサインになります。
例)
・上昇トレンドにおいて価格が押し目を作り安値を更新していないのにもかかわらず、RSIでは前回安値を下回る→上昇トレンドの継続を示唆
・下降トレンドにおいて価格が戻り目を作り高値を更新していないのにもかかわらず、RSIでは前回高値を上回る→下降トレンドの継続を示唆
TradingViewでRSIを使ってみよう

(1)内蔵のRSIストラテジーを使ってみよう
ここまではRSIの基本的な事項でしたが、TradingViewでのRSIの活用方法について少し触れたいと思います。
ストラテジーというRSIの売買戦略が内蔵で誰でも使えるようになっているので、RSIストラテジーを使ってみましょう。
まず、「インジケーター&ストラテジー」から内蔵のRSIストラテジーを選びます。
そうすると、買いシグナルは青色の矢印(↑)、売りシグナルは赤色の矢印(↓)がチャートに反映されます。
このRSIストラテジーは、
売りシグナルは、直前のローソク足がRSIが70以上から、70以下になった時にシグナルが出ます。
RSIストラテジーをPineスクリプトをみて読み解いてみます。
RSI Strategyの横にある、{}のアイコンを押します。
そうすると、PineエディタにRSIストラテジーのPineスクリプトが表示されます。内蔵ストラテジーなので、こちらに直接編集を加えることはできません。(このスクリプトを活用したい場合は、新規作成から新たな空のインジケータもしくはストラテジースクリプトの場を作成してください)
strategy(“RSI Strategy”, overlay=true)
length = input( 14 )
overSold = input( 30 )
overBought = input( 70 )
price = closevrsi = rsi(price, length)if (not na(vrsi))
if (crossover(vrsi, overSold))
strategy.entry(“RsiLE”, strategy.long, comment=”RsiLE”)
if (crossunder(vrsi, overBought))
strategy.entry(“RsiSE”, strategy.short, comment=”RsiSE”)
このようなPineスクリプトになっていることがわかります。
CrossoverとCrossunderというビルトイン関数が使われています。
Pineスクリプト言語リファレンスマニュアルを参照してみると、下記のような関数だということがわかります。
ということは、
If(crossover)…文の内容は、「RSIの値が1つ前のローソク足では30より小さく」かつ「現在の終値でRSIの値の値が30より大きい時」に、買いシグナルを出す文です。
同様に、If(crossunder)…文の内容は、「RSIの値が1つ前のローソク足では70より大きく」かつ「現在の終値でRSIの値の値が70より小さくなった時」に、売りシグナルが出す文ということになります。
(2)RSIストラテジーのストラテジーテスターをみてみよう
では、この買いシグナルと売りシグナルはどのくらい勝算があるのでしょうか。
それを素早く計算できるのが、「ストラテジーテスター」です。チャート下の「ストラテジー」ボタンを押すと、チャートに反映させた銘柄と時間足でのプロフィットファクターや、勝率が計算されます。
試しに、ETHUSDチャート 30分足にRSIストラテジーを当てはめてみます。
そうすると、プロフィットファクターが0.892、勝率63.08%で損失の方が大きくなりデフォルト設定と期間でのRSIストラテジーは有効なストラテジーでないということがわかります。
日足、1時間足、15分足でも利益より損失が大きいという結果が出ます。
直近のETHUSDチャートでは、RSIストラテジーを使わないか、違うテクニカルと組み合わせて使った方が無難という結果になりました。
通貨ペアを変更したり、ご自身の実際のトレード環境になるべく近い設定でストラテジーテスターをいろいろ試してみてください。
もっとストラテジーテスターについて学びたいという方は、こちらの記事もおすすめです。
終わりに
いかがでしたでしょうか。一定期間の値幅変動から値動の強弱を数値で測るRSIはレンジ相場での価格反転をみる上で有効であり、価格との関係性をみることでトレンド転換・継続を察知する際にとても便利です。
ただし、トレンド中ではダマシになることが多いなど注意点もあるので、チャートや他のテクニカル指標と組み合わせて、ぜひ有効活用してみて下さい。

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