以前に『仮想通貨の板とは?見方や仕組み、注文方法を図解』では、板の基本的な用語や使い方をまとめたました。
今回の記事はその記事の応用編として…
- 板読みや見せ板とは?
- 板は一応見てるけどそんなに活用できない
- 具体的な板の使い方を知りたい!
と思っている人のためにあ、板のもっと踏み込んだ使い方について説明していこうと思います。
もくじ
仮想通貨の板読みとは
仮想通貨の板読みとは、仮想通貨の取引所やレバレッジ取引所の板から相場参加者の心理を読み解き、それを元に売買戦力を立てる分析方法です。また中にはチャートはあまり見ずに、板読みをメインに仮想通貨を売買している人もいます。
代表的な相場分析方法であるチャート分析と、板読みを比較すると主に以下の違いがあります。
板読みの特徴とチャート分析との違い
板読みとチャート分析の違い
板読み | チャート分析 | |
注文情報の確認 | 〇 | × |
価格変動の描画 | × | 〇 |
分析できる対象期間 | 短期から中期(数秒から数日) | 短期から長期(数秒から数年まで) |
板読みがチャート分析よりも優れいている点は、まだ約定していない指値注文や逆指値注文を確認できることです。
チャート分析は、値動きや価格推移が視覚的に見れる上に、それを元にテクニカル分析ができます。しかしチャートは約定の結果であり、板はその約定が起きる前の注文状況が見れるのです。
したがってそれぞれの良し悪しがあり、自分に合った分析方法を身につけるためにも、板読みの分析方法を知っておきましょう。また相場によって板読みやチャート分析を使い分けるのも良いでしょう。
次の項目からは、具体的な板読みの方法について解説します。
仮想通貨やビットコインの見せ板とは?見せ板の目的
仮想通貨の板読みをする上で注意したいのは「見せ板(みせいた)」の存在です。
仮想通貨やビットコインの「見せ板(見せ玉)」とは、価格を操作したいトレーダーが投資家の心理を惑すのを目的に、約定させるつもりがない指値注文・逆指値注文を出し、板に表示される注文です。
なお見せ板の多くは、比較的大きな数量で指値注文されます。
次の項目で実際に見せ板を見てみましょう。
【例】仮想通貨の見せ板

上の板の画像は、ビットコインの板です。約定数量が0.01BTCや0.05BTCなどが続く中、5BTCの板が買い板にも売り板にも置いてあり不自然だと思いませんか?
このように時折見かけるのが、投資家心理を惑わせようとするために約定させる気がないのに設置する「見せ板(見せ玉:みせぎょく)」です。
次の項目は、実際に見せ板により価格が変動した事例を紹介します。
板は「この価格だったら買いたい人」と「この価格だったら売りたい人」が現時点でどのくらいいるのかが、現在価格を中心に指値注文量を一目でわかるようにした表示です。ちなみに成行き注文と高速アルゴリズム注文(システムトレード)は板に表示されません。成行注文は指値注文と約定し、高速アルゴリズム注文はシステム的には板に並んでいるものの、画面に表示される前に約条するからです。
【実例】見せ板が価格操作に使われたケース
仮想通貨の見せ板は、投資家心理を惑わせ価格を操作するために利用されます。では価格を操作したいトレーダーは、見せ板をどのように使い価格を操作すのでしょうか?
先程の画像にあった5BTCの見せ板の、その後の動きをチャートと板から追ってみたいと思います。

まずAの5BTCは、約定してないのが歩み値(画面左:チャート上のオレンジ枠)を見るとわかります。
次にチャートは、上の図の板①から板②へと売りの見せ板が厚くなった(②で5BTC以上の注文が3つに増えた)のを皮切りに、その後価格が78万4,000円代から78万2,000円代に下落します(③)。
この厚い板のプレッシャーは、買いポジションを持っている決済売りをしたい人にとっては「こんな厚い売り板があるのだから、板より下の価格で売ってしまおう」といった判断につながっていたかもしれません。その後BTC/JPYの価格は、1分足で見ると上のチャート画像のように下落していきました(チャート上オレンジ枠の右から)。

仮想通貨の見せ板を見抜く方法(見分ける方法)
では価格操作を予想するために、見せ板を見抜き普通の注文と見分けるには、どうすれば良いのでしょうか?
結論としては、板の監視中に価格が大口注文に近付いたときに、その大口注文が取り消されたり別の価格で再注文された場合は、見せ板である可能性があります。
しかし見せ板を確実に見抜く方法はありません。注文の真意は注文した本人以外は確認する術がないからです。
見せ板と大口注文の違い
また見せ板と間違えやすいのが、約定させるつもりがある大口注文です。また相場には大口注文が集中しやすい価格帯があり、そこでは特に見せ板と大口注文の見分けが難しいため、毎回チェックしましょう。
- 見せ板と普通の大口注文を見分けるポイント
- その板の数量を他の注文と比較する
- 価格帯出来高を見てみる
- 価格の節目になっていないかチェックする
そもそも見せ板は約定させる気がありません。そのため価格が見せ板に近づくと、注文が取消され別の価格で再注文されます。再注文される価格は、周りの板と比較して売り板又は買い板のプレッシャー(蓋)になるよう設定されます。
また紛らわしいのですが、例えば80万円といった切りのいい価格や、サポートラインやレジスタンスラインの価格帯にある大口注文は、見せ板ではない可能性があります。そのような価格帯は多くの投資家が意識する部分なので、比較的大きい数量の注文がされていることが多いためです。
【実践編】板読みでビットコインのレバレッジ取引でトレードする
私の周りの投資家仲間に、「ビットコインのレバレッジ取引で見られる傾向」についてアンケートを取ってみました。
アンケートの結果、ビットコインの相場には、板の売り崩しや板の買いあがりが多く、そういった場合に板を使っているとの参考意見を得ました。次の項目からは、板を見ることで優位に取引できる投資家心理を考察していきたいと思います。
また買い上がりはその反対に、相場参加者にビットコインを買わせることを目的に、継続的に買い注文を出し価格の上昇させる行為です。
ビットコイン相場で板の売り崩しが起きやすい場面
ビットコインでは、買い注文が薄くてかつ売り注文が厚い時に、一気に空売りが仕掛けられることがあります。この時「売り板が厚いから、少しでも価格が下がったら買い板が厚くなるところまで下がりそうだ」と思うデイトレーダーが増えます。
いざ積極的な買いが入れづらい状況になると、今まで置いてあった買い板まで移動されたり取り消しされたりします(売り崩し)。そうなると、板はさらに売り優勢の状況になります。
その後売りから一転して買いの兆しが見えるときに、買い支えの注文が並んでくれば現在値より買い気配の方が高くなります。そうなると一旦の売り崩しは終了で、買いが入りやすい板となります。
いずれも短期売買での売り買いの概略になりますが、売ったら買い戻す必要があるので、売りと買いの勢いを板の状況で確認している投資家もいます。
ビットコイン相場で板の買いあがりが起きやすい場面
板の売り崩しと逆パターンですが、売り注文が薄く買い注文が厚いときに、一気に買い上がりが仕掛けられることがあります。
板の売り崩しや板の買い上がりは、BTCのレバレッジ取引でよく出現します。この部分のみで利益を上げてるデイトレーダーもいるくらいです。こういったところを狙う方は、積極的に板を確認してみてくださいね。
と疑問に思った方、いるかもしれません。もちろん株式取引では、金融商品取引法で違法ですので明らかな見せ板や証券会社のルールは厳格です。金融庁は、「仮想通貨現物取引時の不正行為・風説の流布・相場操縦には規制が必要」ということで、今後近いうちに規制の動きになるかもしれません。
トレンドの転換になる出来高急騰の時の歩み値

相場の転機となるような出来高の急騰が起きている場合、歩み値もチェックしておくと良いかと思います。トレンド転換になる場合、出来高が急騰し継続的に大きな動きがみられます。
例えば1度に200BTCの約定があっても、小口が大量に約定して合計200BTCなのか、それとも一括で200BTC買っている大口が存在しているのかで今後の相場の行く末が異なります。
そんなときは、歩み値を見なければ細かいところがわかりません。大口がその200BTCをすぐ利益確定するのか、それともしないのかにも相場の方向が左右されることがあるので、比較的大きい約定があった時に歩み値をチェックしましょう。
- 板を読み解くポイント
- 分かりやすい売買状況で観察する(売り崩し・買いあがりパターン)
- 比較的大きな約定があったときの板の変化を察知する
- 出来高急騰時の歩み値をチェックする
【まとめ】仮想通貨の板読み習得のコツ
板を上手く使うことで、利益が伸びたり、売買判断の一助になるかもしれません。板情報や歩み値を見たからこそわかる投資家の心理があります。苦手意識ある方もいらっしゃると思いますが、必要ないと思っていても新しい発見を見つけに一度のぞいてみてはいかがでしょうか。
また人によってトレード方法は様々です。また板には多くの人の注文が一覧になって出ている状態です。短期なのか中長期なのか、自分の取引によって気にする点は様々かと思いますが、板を見慣れていくためにも目立った約定があれば、その分増えた板が他にないかチェックするという癖をつけていきましょう。
こちらでオススメの板が使える取引所を紹介しています。