Libraを中立的に見てみよう<その2:コンセンサスLibraBFT編>

2.リブラの技術的概要

このセクションでは、コンセンサスアルゴリズム、スマートコントラクトサポートと2トークンシステムについて説明します。

◆コンセンサスアルゴリズム

Libraは、そのネイティブのブロックチェーン、Libra Blockchain(リブラブロックチェーン)で実行されます。

このチェーンは、コンソーシアムの参加者が運営するノードが地理的及び高度な技術的要件を伴って広く分散されているProof of Stake(PoS)アルゴリズムによってサポートされています。

 

これらのノードは、Byzantine-Fault-Tolerant(BFT:ビザンチン問題耐性)を持った新しいコンセンサスアルゴリズムを採用しています。

それは「LibraBFT 」と呼ばれるこのコンセンサスアルゴリズムで、2018年に「VMware Research」のMaofan YinとDahlia Malkhiによってリリースされた「HotStuffフレームワーク」の変形版です。

このフレームワークは、Binance Chainの様なTendermint-basedのチェーンなど、BFTコンセンサスによって動かされる他のチェーンと将来的に相互運用性を可能にするかもしれません。

 

JP Morganによって構築されたパーミッションブロックチェーンであるQuorumは、以前は伝統的な(非暗号)会社からの他の大規模な暗号アセットイニシアチブとして広く議論されていました。

次の表に、JPM Coin / QuorumとLibra / Libra Networkの類似点と相違点を示します。

 

表1 – JPMのQuorumとFacebookのLibraの比較(出所:Binance Research)

 

◆スマートコントラクトとプログラミング言語

スマートコントラクト(Smart contracts)は、Libraブロックチェーン用に構築されたプログラミング言語である「Move」で作成されます。

ホワイトペーパーによると、Moveは「カスタムトランザクションとスマートコントラクトの実装に使用される実行可能バイトコード言語」です。
(補足:バイトコード言語とは機械語に近い中間言語なのでOSやプラットホームが違っても移植がしやすい)

 

現在パーミッションブロックチェーンの機能の1つは、ネットワーク上での実行が事前承認されて、すぐに使えるスマートコントラクトです。ただし、これらのスマート契約は、ネットワークの立ち上げ時に実行できる唯一のものです。

この設定では、チェーンを採用している企業や個人が現時点で可能な機能が制限されますが、この制限により、チェーンでエラーが発生する可能性も低くなります。

また、Ethereum Parity Walletインシデント等は、コンソーシアムやオープンソースコミュニティ内でレビューされています。

Libraテストネットを試したり、さらにドキュメントを読むために、開発者はLibra開発者ポータルにアクセスできます。

さらに、100社からなる大きなコンソーシアムでは、ユースケース、ニーズなど「プレビルト」したいという要望数は、かなり包括的になる可能性があり、企業側から必要とされるスマートコントラクトやツールは、コンソーシアム自体から直接入手し、ポーリングすることができます。

 

◆2トークンシステム

MakerDaoのMKR(governance token)とDAI(stablecoin)システムや他の暗号資産の2トークンシステムと同様に、「Libra Investment Token(LIT)」と呼ぶガバナンストークンを持っています。

このトークンは、このガバナンスの参加者やネットワーク保守担当者に支払われる可能性のあるすべての収入または報酬から生じ、支払いトークンとして日々支払われます。
また、コンソーシアムによって提供される支払いトークンの価値は「寿命と実用性の価値」に依存します(つまり、ペッグされる通貨により変動する)。

 

ただし、非営利団体、NGO、およびその他のインパクト指向の組織は、最低1000万ドル相当の「Libra Investment Token(LIT)」を保持することなく、ガバナンスに参加できる可能性があることに留意してください。
多くのimpact-oriented組織が国際的な支払いと取引実績を持つ機関の参入に対する規制の免除は、採用の大きな動機となる可能性があります。

すでに発表されている3つの主要な非営利組織、Kiva、Mercy Corps、およびWomen’s World Bankingからの参加が明らかです。

通常の営利企業の場合、この参加基準が米ドル、またはネットワーク(LIT)全体の保有比率の1%の保有を明確にすることが重要になります。(つまり、最大100バリデータを想定して1%)

 

続編は実際にリブラがリリースされた場合を想定した社会的影響について述べています。

<その3へ続く・・・>

About おやじっち 99 Articles
元プログラマー、その昔日本初?(多分)の有料iPhoneアプリリリース、無料アプリに至ってはダウンロード数4週以上首位をキープ!多数リリースしたアプリの一つは「AppStore 2010AWARD」にも選出された。さらに遡り、当時(1996年)AppleのCEOアメリオ会長(Steve Jobsを呼び戻した人)と握手した事もある。という自慢話は過去の良き思い出となっている。還暦を期に現役プログラマーを引退(若干ボケが来たので)。 仮想通貨や株には全く無縁であったが・・・