先日、DApps(ダップス)の総合メディアであるdapps.comが、2019年第一四半期のDAppsに関するレポートを公表しました。
このレポートは、イーサリアム、イオス、トロン、スティームの4つのDAppsゲームのデータを集計し分析したものです。
今回はそのレポートの一部を引用して、イーサリアムDAppsの意外な現状を紹介します。
【基礎知識】DAppsとは
DAppsとは、ブロックチェーン上に構築され、稼働する分散型アプリ ケーションのことです。
スマートコントを利用することで、様々な機能を果たすことができます。
例えば以下のような用途で、すでにDAppsが開発されています。
- 取引所
- ゲーム(例:クリプトキティーズ)
- 予測市場(例:オーガー)
- 分散型ストレージ
- 公的サービス(例:戸籍証明)
またDAppsには以下のような特徴があります。
- 中央管理者がいらない
- 透明性がある
- 改ざん耐性を持つ
- トークンが価値(希少性)を持つ
- トークンを仮想通貨やトークンと交換できる
最近は特に、取引所(DEX:Decentralized exchange)とゲームの開発が活発で、日本ではマイクリが注目されています。
【結論】ほぼ増加していないDAppsゲーム取引高
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今回公表されたレポートで意外だったのは、DAppsゲームの取引高が特に低かった点です。
上のグラフのピンク色の幅がゲームの取引高とユーザー数です。ユーザー数(下図)ではダントツで1番ですが、取引高(上図)では線がギリギリ見える程度です。
逆にギャンブル(紫)と取引所(オレンジ)は、ユーザー数は微増にも関わらず、取引高は順調に伸びています。
数値の詳細は割愛しますが、とにかく「DAppsは人気のわりに全然取引されていない」という事実がわかります。
【理由】DAppsゲームは出来高がとれる仕組みではない
DAppsゲームの取引高が上がらない理由は、そもそも取引が目的ではないからです。
DEXは、通貨同士を交換した時の差額が、ユーザーの利益になります。
またギャンブルは、収集した通貨が再分配された時の分配律の差が、ユーザーの利益になります。
そのためDEXでは交換が、賭博では収集と再分配という、取引行為がビジネスモデルの軸となっています。
また両方に共通して言えることは、通貨の価値が担保されているから実現しているということです。
なお法定通貨は国の信用が価値となっており、また仮想通貨はプロトコル(仕組み)やプロジェクト(取組)が価値となっています。
【解説】DAppsゲームのビジネスモデル
では、DAppsゲームの仕組みはどうなっているのでしょうか?
結論としては、ゲーム内でトークンの価値を高めることがDAppsゲームの本質です。
ただしこの時点ではまだ価格がつきません。
つまり、その価値を高めたトークンはユーザーが欲しがることで価格が付き、そして取引が行われるようになります。
なお価格は市場原理によって決まります。詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
【解説2】DAppsゲームの仕組みの根幹は希少性
まずDAppsゲームに使用されるトークンは、それぞれ価値が異なります。
価値が異なるとは、種類は同じだけどそれぞれのトークンの価値(希少性)が違うということです。
例えば、CXRという種類のトークンがあったとします。
それをAさんCさんBさんの3人に1CXRずつ配ります。
結果どうなるかというと…
- A:1cxr=1eth
- B:1cxr=50eth
- C:1cxr=0.3eth
といったことが起こります。「ん?ありえない…」と思うことでしょう。
しかしDAppsトークンとして使用される、イーサリアム上で発行されるトークンだえるERC721では、それができるのです。
またこのようにトークンごとに独自の価値を持つ種類を、NFT(Not Fungibility Token:非代替性トークン)と呼びます。
そしてNFTは、通貨としては使えないけど、モノのようなコレクション性(希少性)を持ちます。
ちなみに、トークンの価値は以下の流れで決まります。
- トークンを作る前に、価値基準を定義する
- トークンを発行する
- トークンの定義達成度合いにより、価値が変わる
【解説3】DAppsゲーム開発者の収益モデル
では上記の仕組みを踏まえて、ゲーム開発者はどのように利益を得るのでしょうか。
主に以下の2点です。
- トークンの交換手数料
- 発行したトークンを売る
①のトークンを売るというのは、仮想通貨取引所のような取引機能を作り、それを利用したユーザーから手数料を貰う収益モデルです。つまりトークンを売りたい人と、イーサリアムで買いたい人のマッチングサービスです。
②発行したトークンを売るというのは、開発者がそのゲーム内で皆んなが欲しがるようなトークンを発行して、それを売る収益モデルです。
ちなみに上記の収益モデルが成立つことの前提として、誰かがトークンを欲しがらなければいけません。
これはつまり、所有欲や承認欲求などを満たすか、取引により利益が生まれるような環境作りが必要ということです。
【まとめ】DAppsゲームの取引高が低い理由
DAppsの取引高が低い理由は、第一の目的がトークンの価値を高めることだからです。
そしてその次に、トークンを取引して利益を得ることや、保有して承認欲求を満たすことが目的になります。
そしてその仕組みを実現しているがの、ERC721 というトークン規格と、トークン発行母体(ゲーム会社)の信頼と価値の定義です。
しかしそのトークンは、そのゲーム内でしか機能せず、また希少性があるからこそ価値となりため、
今後も取引高が増える可能性は低いでしょう。
ちなみにCXRもREXXブロックチェーン上で、独自トークンの発行を検討しています。
ご興味のある方はご連絡ください!