仮想通貨の取引所にある「板」を知っていますか?
買い方を調べていたり、Twitterで情報収集していると「買い板・売り板」というフレーズも見かけることが多いと思います。
しかし板の見方や使い方がよくわからずに、以下のような単純な方法で取引している人もいると思います。
- 「チャートだけ見て売買している」
- 「なんとなくのタイミングで買う」
- 「価格を見て安いと思ったら買う」
でも、仮想通貨をお得に買いたい(売りたい)と思ったら、板の確認は必須です!
それは2018年頭から現在までのような、上がり調子ではない難しい相場では、特に言えます。
そこで、この記事では板の見方や用語、仕組み、使い方を解説し、板があるオススメな取引所を、仮想通貨ごとに紹介します。
もし板よりも「板読み」を先に知りたい人は、「【実践編】仮想通貨の板読み方法!現物やレバレッジ取引の板の特徴や歩み値を理解しよう」の記事をごらんください。
もくじ
仮想通貨の板とは
仮想通貨の板とは、簡単に言うと取引所に参加しているユーザーの注文状況がわかる便利な表です。ちなみに英語では「Order Book(オーダーブック)」と呼ばれています。
次の項目では、板の用語について解説します。
仮想通貨の板の見方
気配値(けはいね)とは、板の中心に垂直に並べられた注文価格のことです。
売りたい人と買いたい人が注文した価格が、規則的に並べられています。
言いかえると、マッチングの相手を待っている注文です。なのでこの価格で注文をするとすぐに約定します。
またどの価格帯が意識されているのかがわかります。
気配値の並び順は、上に位置するほど高く、下に位置するほど低い価格の注文が並べられています。
また板の縦半分を境に、上半分が売り注文(売り板)、下半分が買い注文(買い板)と別れています。
そのため、今から買いたい人は板の上半分を、仮想通貨を売りたい人は板の下半分を見ます。
なおスマートフォンやPCの画面に表示されている板は、注文の一部であることが大半です。
全格帯の板を見るには、専用ページなどから確認しましょう。
売り板とは、板の上半分に表示された買い注文と、注文量のことです。
また買い板とは、板の下半分に表示された売り注文と、注文量のことです。
注文量とは、それぞれの価格に対して注文されている量です。
また注文価格に量を掛けることで、その価格に注文されている総額がわかります。
例)40万円 × 0.5BTC = 20万円分の注文
【板の見方まとめ】
- 板とは
→取引所に参加しているユーザーの注文状況がわかる便利な表 - 気配値(けはいね)とは
→板の中心に垂直に並べられた注文価格 - 売り板は
→売りたい人の注文が上半分に並ぶ - 買い板は
→買いたい人の注文が下半分に並ぶ
- 板の並び順は
→価格が高い注文は上に、安い注文は下に並ぶ
板の厚さとは
板の厚さとは、板に並んでいる注文価格の数と注文量の多さの状況のことです。
「板が厚い」とは、比較的に注文価格の数と注文量が多い状況で、
「板が薄い」とは 、比較的に注文価格の数と注文量が少ない状況のことです。
ただし、厚さに明確な基準はなく、以下のような項目同士で比較したときの優劣で厚さを表します。
- 売り注文と買い注文の量の比較
- 時間軸の比較
- 仮想通貨ごとの比較
- 取引所ごとの比較
また売り板と買い板を比較し、売り板の方が厚いと「売り気配」。買い板の方が厚いと「買い気配」と言います。。
なお板が厚い方が取引に理想的だと言われています。より条件の良い価格で約定できるからです。
また板が薄い場合のデメリットは、指値注文がなかなか約定しなかったり、成行注文で意図しない価格で約定してしまうことがあります。
板の流動性とは
板が厚い状況を「流動性が高い」板が薄い状況を「流動性が低い」とも言います。
これは注文の多さと約定の頻度のことを指し、約定のしやすさを表します。
そのため流動性が高いと約定がしやすく、流動性が低いと約定がしにくくなります。
【板の厚さまとめ】
- 板の厚さとは
→他の板と比較した際の、注文価格の数と量の多さの状況のこと - 買い気配
→買い板の方が厚い状態 - 売り気配
→売り板の方が厚い状態 - 流動性
→約定のしやすさ
仮想通貨の板の仕組み
冒頭で、「板は売りたい人と買いたい人が注文した価格が、ルールに従ってに並べられている」という旨の解説をしました。そこでこの項目では、板のルールについて解説します。
板はオークション方式のルールが採用されています。オークション方式とは、買い手と売り手の注文の中から、双方の条件が合う注文同士で約定させる方法のことです。
またオークション方式には、価格優先の原則と、時間優先の原則があります。
・時間優先の原則
・価格優先の原則
時間優先の原則とは、注文時間が早いものから順に約定されるルールです。
また価格優先の原則とは、出された注文に対して、1番条件の良い注文が約定されるルールです。
1つの指値に、2人が指値注文した場合には、早かった方が約定します。(時間優先)
また成行注文に対しては、1番条件の良い指値から順に約定されます。(価格優先)
販売所には板がない理由
実は板があるのは仮想通貨の取引所のみで、販売所にはありません。
その理由について解説します。
結論としては、販売所に板がないのは並べる注文が1つしかないからです。
販売所は、ユーザーと仮想通貨交換事業者が1対1で、仮想通貨の取引をする方式を取ってています。
これを「マーケットメイク方式」と言います。
一方で取引所は、複数のユーザーから注文を受け、売りと買いをマッチングさせる方法を取っています。
その際に、ユーザの希望価格でマッチングさせるために、注文はルール沿って板に並べられます。
そして注文を出そうとしているユーザーが、すでにある注文を元に新しい注文を出すことで、売りと買いの双方が希望する価格で取引できます。これを「オークション方式」と言います。
- 販売所|チャート|マーケットメイク方式
- 取引所| 板 |オークション方式
詳しくは「仮想通貨の《取引所》と〈販売所〉の価格の決まり方の違い」の記事をご覧ください。
【板の仕組みまとめ】
- 価格優先の原則
→出された注文に対して、1番条件の良い注文が約定されるルール - 時間優先の原則
→出された注文に対して、時間が早い注文が約定されるルール - オークション方式
→買い手と売り手の注文の中から、双方の条件が合う注文同士で約定させる取引方法 - マーケットメイク方式
→注文者と販売所の2者間で売買を成立させる取引方法です
板を使った成行注文と指値注文について
ここまで仮想通貨取引所の板の基本について説明しました。
ここからは板を使った注文について解説します。
まず仮想通貨FXの注文方法は大きく分けて2種類あります。
- 成行注文
- 指値注文
それぞれの特徴を見てみましょう。
仮想通貨の板を使った成行注文
成行注文とは、価格を指定しない注文方法のことです。注文時に板に並べられている注文の中から、1番条件の良い注文とマッチングして売買します。
なお注文量を上回る注文をした際に、成行注文の場合は、注文量を消化し切るまで、次に条件の良い価格で約定し続けます(上画像)。そのため、成行注文が板に並ぶことはありません。
また板に並べられている注文を取り去るという意味から「テイカー(taker)」と呼ばれることもあります。
仮想通貨の板を使った指値注文
板を使った指値注文とは、板にある価格を見ながら価格を指定する注文方法のことです。
板にある価格を指定した指値注文の流れ
その時に売り板に並んでいる価格を指定した買い指値注文の場合は、その指定価格よりも条件が良い売り注文からマッチングし約定します(上図の①)。
①で約定しても注文数がまだ余っていた場合には、次に条件の良い売り注文と約定します(図②)。
最終的に指値価格よりも良い売り条件の注文がなくなると、その指値注文は買い板に並ぶのです(図の赤枠)。
なお①と②の約定はテイカーで、赤枠として板に並ぶのはメイカーです。
板にない価格を指定した指値注文の流れ
また売り板に並んでいない価格を指定した場合は、その指値注文は買い板に並びマッチングを待つことになります。
なおこの場合はメイカーとなります。
仮想通貨の注文方法をもっと知りたい方は、コチラの記事をご覧ください。
【板の注文用語のまとめ】
- 成行注文
→価格を指定しない注文方法。今板にある1番条件の良い注文から約定する
- 指値注文
→価格を指定する注文方法。板に並んでいない価格を指定すると、新たに板に並ぶ - テイカー
→成行又は、指値注文で板に並んでいる価格をしたときの分類 - メイカー
→指値注文で、板に新たに並んだときの分類
【実践編】板を使った注文方法
この項目では、板を使った実際の注文方法を解説します。
まず上の説明の通り、大きく分けて2種類の注文方法があります。
- 成行注文※
- 指値注文
※bitFlyer、coincheck、fisco、Huobi Japanには成行注文の機能がありません。
さらに、指値注文をする板を食うときは2種類の注文属性に別れます。
- 成行注文(テイカー)
- 指値注文
- テイカー:板に並んでいる価格から注文する方法
- メイカー:板に並んでいない価格を注文する方法
ではそれぞれの板を使った注文方法を解説します。
【成行】板を使った仮想通貨の注文方法
まずは板を使った成行注文の手順を、買いと売りそれぞれ解説します。
成行注文は、すぐに約定したい時に使います。では、買いと売りそれぞれの注文方法を説明します。
仮想通貨を買いたい場合
- 売り板の1番安い価格から、板の厚さ(並んでいる注文価格と注文量)を確認する
- 現状の予算で、どれだけの量の仮想通貨が買えるかを予測する
- 上の予測を元に実際に購入したい仮想通貨の数量を入力する
- 注文ボタンを押す
- 約定します
※この際に板が薄い場合は希望価格よりも高い価格で約定する可能性があるので要注意
(例)
仮想通貨を売りたい場合
- 買い板の1番高い価格から、板の厚さ(並んでいる注文価格と注文量)を確認する
- 売りたい量が幾らで売れるのかを確認する
- 上の予測を元に実際に売りたい仮想通貨の数量を入力
- 注文ボタンを押す
- 約定します
※この際に板が薄い場合は希望価格よりも安い価格で約定する可能性があるので要注意
成行注文の仕方の解説は以上です。
【指値】板を使った仮想通貨の注文方法
次に板を使った指値注文の手順を、買いと売りそれぞれ解説します。
板に並んでいる価格から指値注文する方法[テイカー]
この注文方法は、すぐに売買したいけど取引所に成行注文機能がないときに使用します。
では買いと売り、それぞれの注文方法を説明します。
指値ですぐに仮想通貨を買いたい場合
- 売り板の厚さ(並んでいる注文価格と注文量)を確認する
- 買いたい価格に合う注文があり、それが希望する注文量以内であれば、その価格と注文量を入力する
- 注文ボタンを押す
- 約定する
この際に指定した注文価格の注文量よりも多く注文すると、約定しきれなかった分は買い板に並び順次約定します
(例)
指値ですぐに仮想通貨を売りたい場合
- 買い板の厚さ(並んでいる注文価格と注文量)を確認する
- 売りたい価格に合う注文があり、それが希望する注文量以内であれば、その価格と注文量を入力する
- 注文ボタンを押す
- 約定する
板に並んでいない価格を指値注文する方法[メイカー]
指値注文は、すでに売買したい価格が決まっている時に使います。
例えば「近い将来〇〇円にきっとなりそうだ。だから今の内にその価格に(予約)注文を入れておこう」といった場合に、この指値注文方法を使います。
では買いと売り、それぞれの注文方法を説明します。
仮想通貨を買う予約注文をしたい場合
- 買い板から、指値注文を入れたい価格帯を確認します
- 自分が注文したい価格帯に大量(大口)の注文が並んでいた場合は、少しだけ高い価格で指値注文を入れましょう。同じ価格に指値注文をすると、時間優先の原則により約定が後になるからです
- 上記を踏まえて価格と数量を入力する
- 注文ボタンを押す
仮想通貨を売る予約注文をしたい場合
- 売り板から、指値注文を入れたい価格帯を確認します
- 自分が注文したい価格帯に大量(大口)の注文が並んでいた場合は、少しだけ安い価格で指値注文を入れましょう。
同じ価格に指値注文をすると、時間優先の原則により約定が後になるからです - 上記を踏まえて価格と数量を入力する
- 注文ボタンを押す
板を使った実際の注文方法は以上です。
【板の注文方法まとめ】
- 成行注文(テイカー)
→すぐに約定したい時に使う。ただし板が薄い時に使うと思わぬ価格で約定してしまうときがあるので注意 - 指値注文(価格未指定:テイカー)
→すぐに売買したいが、取引所に成行注文機能がないときに使う。注文量が上回ると板に並び約定を待つ - 指値注文(価格指定:メイカー)
→売買したい価格が決まっている時に使う。価格の予約機能。
板がある仮想通貨取引所
最後に、国内の取引所の板の有無と特徴について解説します。
国内の主要取引所13社から、Web版の取引所で板があるか無いかを確認しました。
結果は以下の通りです。
【板がある取引所】
- BITPOINT(ビットポイント)
- bitbank(ビットバンク)
- Huobi Japan(フォビジャパン)
- coincheck(コインチェック)
- bitFlyer(ビットフライヤー)
- Zaif(ザイフ)
- フィスコ仮想通貨取引所
- BTCボックス(ビーティーシーボックス)
- GMOコイン
【板がない取引所(販売所)】
仮想通貨別、板取引にオススメな取引所
最後に仮想通貨ごとに、板が比較的厚くて流動性がある現物の取引所を紹介します。
- ビットコイン
- イーサリアム:Huobi Japan(フォビジャパン)
- リップル :bitbank(ビットバンク)
- ビットコインキャッシュ:BITPOINT(ビットポイント)
【まとめ】仮想通貨の板
仮想通貨取引所の板の基本について説明しました。
板は用語やルールなど、色々と覚えることが多く懸念しがちですが、一度覚ればトレードを行うときの分析が一気に楽になります。
最初の内は、ぼんやりと眺めているだけでも良いでしょう。その中でい板の用語やルールが知りたくなったら、この記事をもう一度読んでみてください。
板の見方を覚えたら、次は「板読み」にチャレンジしてみましょう。